こんにちは、ナピログ・ナピコです☘
今回紹介するのは、漫画家 幸村誠先生による
“宇宙ゴミ=スペースデブリ”をテーマにした作品
『プラネテス』
ただ「宇宙ゴミを回収する仕事」の話に留まらず、描かれる内容が深くて、真面目に読み語れる“傑作漫画”だと思っています。
この作品を読み進めると、「ただ宇宙ゴミを拾う仕事」という枠を超えて、私たち自身が抱える“未来への問い”や“生きる意味”が映し出されているのが分かります。
例えば、なぜ宇宙ゴミが問題なのか?
それは人類が「捨てたもの」「見過ごしたもの」をどう扱ってきたか、その歴史の延長線上にあるからです。
『プラネテス』では、宇宙という広大な舞台の中で
「個人の夢」「社会の責任」「人間同士のつながり」
が丁寧に絡み合っていて、巻を追うごとに、
“技術が進むならば人間も進むのか”
“進まなかったとき私たちはどう立ち直るのか”
という問いが体感できる構成になっていて、だからこそ“考察”が深く入る作品なのです。
このレビューでは、まず各巻あらすじと見どころを振り返ったうえで、そのテーマと私たちの日常をつなげる考察を付け加えていきます。
宇宙好きも、人間ドラマ好きも、ぜひ「次はどう考える?」という視点で読み進めてみてください。
(実際は…など詳しい部分も重要ですがそれ以上に、その問題に対して関心を持つことがまずは大切だと個人的に思っています。)
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『プラネテス』 幸村誠
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作品情報
- タイトル:プラネテス
- 作者:幸村誠 (1976年/神奈川県出身)
- 出版社:講談社(モーニングKC)
- 連載期間:1999年〜2004年(『モーニング』誌にて不定期連載)
- 単行本巻数:全4巻
- ジャンル:近未来SF/社会派+人間ドラマ
- キーワード:スペースデブリ(宇宙ゴミ)、宇宙開発、生命・仕事・夢・葛藤
- 特筆:2002年度「星雲賞コミック部門」を受賞。
登場人物
| キャラクター名 | 読み | 簡単な紹介 |
|---|---|---|
| 星野 八郎太(ほしの はちろうた)/ハチ | ほしの はちろうた | 主人公。デブリ回収の仕事を通して成長していく青年。 |
| ユーリ・ミハイロコフ | ゆーり・みはいろこふ | ロシア人クルー。デブリ絡みの事故で日本人の妻を失っている。 |
| 田名部 愛(たなべ あい)/タナベ | たなべ あい | 新人デブリ屋。信念「愛こそがすべてを救う」を掲げる日本人女性。 |
| フィー・カーマイケル | ふぃー・かーまいける | 黒人女性船長。老朽デブリ回収船「DS-12 ‘TOY BOX’」の指揮をとる。 |
各巻あらすじ&見どころ
第1巻
あらすじ:
2070年代――人類の宇宙進出が当たり前となった時代。
軌道上には増え続ける“スペースデブリ”(宇宙ゴミ)が重大なリスクとして立ちはだかる。
そんな中、デブリ回収作業員として働くハチ(星野八郎太)は、自分の夢と現実のギャップに揺れながら日々を送っていた。
ある任務中、不慣れなクルー・ユーリの過去に触れ、また新人のタナベと出会うことで、彼の世界は徐々に変化を始める。
見どころ:
- スペースデブリという“いま知るべき宇宙課題”を真正面から扱っている。
- ハチの軽いノリと「夢を手にしたい」という飽くなき願いに共感しながら、「自分は何者か」という問いが投げかけられる。
- 「こんなにも宇宙が近くなったら、ゴミも増えるんだ」というリアリティ。読者としていつの間にか“宇宙ゴミ”に関心が向く。
「このスペース・デブリ、宇宙開発が進むにつれて数が増え続け…」
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第2巻
あらすじ:
デブリ回収という地道な仕事の中で、ハチは自分と仲間たちの立場を見つめ直す。
ユーリは妻を失ったトラウマを抱え、タナベは「愛」という信念を行動で示そうとする。
月面都市での入院を機に、ハチは“月育ちの少女ノノ”と出会い、異なる境遇を持つ彼女の姿に胸を動かされる。
そして、偶然発見されたデブリの中にある「過去の記憶」がきっかけで、彼らの仕事が“ただのゴミ拾い”ではないことに気づく。
見どころ:
- 月/地球/火星という複数の舞台を交えて、「環境」「重力」「人間の適応」というテーマが立ち上がる。
- 「新人」「猛者」「船長」という立場の違いから来る価値観のズレが丁寧に描かれる。
- ハチとノノのシーンには“無力ながらも前に進む”という切なさと希望が同居していて、読んでいて胸が熱くなる。
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第3巻
あらすじ:
宇宙が近くなった世界で、回収作業の危険性が浮き彫りになっていく。
テロ組織の攻撃、デブリによる事故、仲間の死――。
ハチは「仕事だから」「夢だから」と続けてきた日常が一変する瞬間を迎える。
ユーリとタナベも、それぞれの信念や過去と向き合い、“仕事”を超えた何かを探し始める。
見どころ:
- 「仕事」と「人生」が交錯するラインが裂け目として描かれていて、読後に考える余地が大きい。
- ハチが“好きだった仕事”を続けるだけでは済まなくなる、という展開。読者も覚悟を問われるような気持ちになる。
- 登場人物たちの“内側”にも焦点が当たり、宇宙という外部だけじゃなく、心の宇宙も深く掘られている。
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第4巻
あらすじ:
物語はついに完結。
ハチたちはデブリ回収という“日常”から離れ、新たなステージへと向かう。
宇宙開発の裏側、視界に入らない小さな存在、そして「人間が宇宙に出る意味」が問い直される。
月や火星の夢が、現実とどう折り合いをつけるのか。
ハチ、ユーリ、タナベ――それぞれが覚悟を決め、未来を見据える。
見どころ:
- 終幕としての「問い」が強く、「何を犠牲に、何を守るのか」が明確に立ち上がる。レビューでも「作者に感謝したい」と書かれるほど心に響く終わり方。
- SFでありながら“人間ドラマ”として成立しており、「設定の面白さ」+「キャラクターの深さ」が両輪で回っている。
- 読み終えたあと、「この作品を読んでよかった」と素直に思えるエンディング。巻末に余韻が残る作品ってなかなか無い。
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正直、スペースデブリ問題を知りたい方は、難しい本を読むより…
この全4巻の『プラネテス』を読めば理解のきっかけになるのでは…と思います。
詳しく理解…の前にまず興味がもてて面白い!
近未来『プラネテス』の世界では、宇宙と人類の関係が今よりずっと身近になっています。
しかし、『スペースデブリ』の増加がますます社会問題に…
現実に今もスペースデブリ問題は深刻な”宇宙環境問題”として取りざたされています。
『スペース・デブリ』とは
遺棄された人工衛星やその打ち上げに使用されたロケット、またそれらの爆発・衝突によって生じた破片等、宇宙空間に漂うゴミ問題。
この漫画、現実社会でこれから先に確実に今より深刻化するであろう”宇宙環境問題”と
宇宙開発が進む何十年先の未来でも変わらずにある想い”人間の心”の対比が私はとても好きです。
1巻はじまりは”高々度旅客機”の事故のシーンから始まります。
デブリ屋のハチはいつも何を考えているのかわからないぼーっとしている仲間のユーリが気になり、
修理業者のおやっさんからユーリが過去に【”高々度旅客機”の事故】により奥さんを亡くしていることを聞きます。
事故で自分だけ助かり、また妻の遺体が発見・回収されなかった事を気にかけていたユーリ。
そして、ハチがその事故のことを聞いた日
デブリ回収任務中、偶然6年前に事故で失った妻の形見である”方位磁石”を発見、
なんとか回収することができ…。
そしてユーリの元に届いた”方位磁石”には妻の想いが書かれていて…
切ないけど胸に残るエピソード・・・そして、
スペース・デブリ問題の重要性。
登場人物、一人一人のエピソードにスポットを当てながら様々な”宇宙問題”が描かれていきます。
月生まれで月育ちの女の子とハチが出会うストーリーでは
怪我をしたハチは月面都市で入院し、宇宙で健康でいることの難しさを痛感
月面で生まれた少女ノノは”ルナリアン”
月で生まれたため、低重力障害を持っていて、生まれつき体が弱く地球の重力には耐えられません。
その為生まれてからずっと月で暮らしていました。
彼女は”地球の海”を見ることが夢
月面の砂漠を架空の海に見立てて遊ぶノノ、そんなノノを見ていると…ハチには
月面の砂漠が
地球の海に見えます。
自分の環境・境遇を受け入れ、それでも前向きに生きるノノ。
ハチはノノを見ているうちに、何かが変わりはじめ…。
巻を追うごとに、物語では様々な事件が!
テロ組織との戦い・宇宙空間での事故が原因で心に傷を負うハチの姿。
新人デブリ屋・田名部愛とハチの出会い
登場人物それぞれの思想とさまざまな出来事が交差して…宇宙と、生命を描いていく
壮大なテーマでありながら、リアルな人間模様…。
とても面白く心を揺さぶるSF漫画だと思いました。
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🧑🚀 仕事・夢・葛藤の視点から見る『プラネテス』
この作品を改めて眺めると、ただ宇宙を舞台にしたSFという枠を超えて、私たちに“自分の仕事”“夢”“何を犠牲にするか”という普遍的な問いを投げかけてくる。
特に、「ゴミ拾い」なんて見下されがちな仕事を選んだ主人公・ハチ(星野八郎太)たちの葛藤が、すごくリアルに響きます。例えばこんな流れがありました
- ハチは「いつか宇宙飛行士になりたい!」という夢を抱えている。
- でも彼はデブリ回収―つまり“宇宙ゴミを拾う”仕事―で日々を送る。そのギャップが「自分は夢を追えてるのか」「この仕事には意味があるのか」という迷いになっていく。
- 仲間たち、特にユーリやタナベのような新人・経験者との対話や衝突を通じて、「夢を持つこと」「仕事を選ぶこと」「責任を背負うこと」の重さが浮かび上がってきます。
🧑🚀 “宇宙環境/未来技術”の視点から見る『プラネテス』
この作品は宇宙ゴミ=“スペースデブリ”という現実にも存在する問題を題材にしていて、技術と社会・未来の関係を問いかけています。
たとえば、2070年代にまで進んだ宇宙開発の世界で、「ゴミすら宇宙に浮かぶ」という設定が、 人間の「開発=進歩」の先にある責任を暗示しているのではないでしょうか。
私たちは「私たちが今使って捨ててるもの/見過ごしてるもの」が、もしかしたら未来の“スペースデブリ”になるかもしれない、という想像に至るはず。
この視点で考えると、ハチ達の「回収屋」という役割は、ただの仕事ではなく 未来へのケア/遺産への責任として読むことができます。
🧑🚀 “人間関係・心の成長”の視点から見る『プラネテス』
この作品には、宇宙の広さ・科学の発展という設定があるけれど、結局描かれているのは「人間の心」「人と人との繋がり」「過去との向き合い」。
たとえば、ユーリが妻を失った過去、ノノ(ルナリアンの少女)という存在、タナベの信念――それらが「宇宙でも変わらない人間らしさ」を浮かび上がらせるのです。
この視点から考察すると、「環境がどれだけ変わっても、人が抱える痛み・葛藤・希望は変わらない」というメッセージが見えてくるはず。
様々な視点から踏まえて読むと、この『プラネテス』何倍も面白く読むことができるのではないでしょうか?
ぜひ一度この名作を読んでみることをお勧めします。
他にも幸村誠先生には言わずと知れた素晴らしい作品があります!
幸村誠先生 関連作品
ヴィンランド・サガ
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あらすじ
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族――ヴァイキング。
そのなかでも「最強」と謳われた戦士がひとりの息子を授かる。
彼の名は トルフィン。
幼くして戦場を生き場として育ち、血煙の彼方に“幻の大陸”ヴィンランドを目指す旅に出る。
トルフィンは父の誇りと剣技を背負い、復讐と名誉を胸に戦いの日々を送る。
だが次第に、剣に頼る生き方の虚しさ、暴力の連鎖の果てにあるもの――その問いと直面していく。
舞台はイングランド侵攻、デンマーク王国との抗争、奴隷制度、そして「平和な土地」を求める旅へと変化する。人として何を信じ、何を守るのか。
そして――ヴィンランドとはただの地名ではなく、理想の象徴となる。
血塗られた戦場から、穏やかな土の上へ。
トルフィンの旅路は、復讐の炎を越え、 “人間としての在り方”を探す壮大な叙事詩へと昇華していく。
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ナピログ管理人 ナピコ☘
最後まで読んでいただき
🌸ありがとうございました🌸
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